先日名古屋で日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会が開催され参加してきました。
その中でいびきと無呼吸に関する講演があり拝聴しました。
睡眠時無呼吸症候群の重症例では交通事故や産業事故の誘因となる程眠気が強く出たり、長期生存率が低下することが報告されているなど社会的影響が大きいです。
講演の中でいびきの治療について言及がありました。
インターネットでいびき対策グッズを検索すると実に様々な器具が紹介されています。
そのほとんどがエビデンス(科学的根拠)には乏しいもので、中にはいびきの音に反応して入眠から覚醒させるような刺激が出る器具も販売されています。
覚醒することによりいびきが止まるという仕組みですが、入眠を妨げるのでは本末転倒です。
不眠になってしまいます。
如何にも効果がありそうな文句が多いですが購入の際にはよくご検討ください。
いびき対策グッズでエビデンスに近いものがあるのは体位治療であると紹介されていました。
睡眠時無呼吸症候群の治療のオプションの一つでもあります。
側臥位(横向き)やギャッチアップになることで呼吸の通路が確保され、無呼吸やいびきが減少することが期待されます。
ベットや枕、ボディピローなどが市販されています。
もう一点注意してほしいと紹介されていたのが美容外科などで行われているレーザーを使った咽頭手術です。
レーザーを使用して口の中の形態を変える方法なのですが、治療成績が低く、レーザーによる熱侵襲(火傷に近い)から瘢痕や狭窄が起こり術後の後遺症が問題になっています。
米国の臨床指針では薦められない治療とされています。
ただ国内の有名な美容外科のホームページには手術料20万円などと掲載されているとのことで、十分注意するようにとのことでした。
もしご検討されている方がおられましたらまずは正確な睡眠検査を受け、睡眠時無呼吸症候群を除外するなどし安易に手術を受けないようにする必要があると思われます。
当院でも睡眠時無呼吸症候群の診察、検査、治療(状態によっては高次医療機関に紹介)を行っています。
夜間の覚醒、いびき、日中の眠気など気になる症状がある際にはどうぞお気軽に相談ください。
倉敷市柳田町598−2
小河原耳鼻咽喉科
小河原 悠哉